高知オルゴール殺人事件
昭和29年の秋、高知県で15歳の少年が野原で16歳の少女にオルゴールを聞かせながら銃で射殺するという事件があった。少年の家は映画館を経営しており地元の資産家の息子。そして少女はその家で女中をしていた。少年の供述によると、動機はなんと映画をみたことにあるという。当時、若尾文子、南田洋子の「十代の性典」が人気を呼んでいた。思春期に目覚めた少年が、手近な女性に手をだして妊娠させてしまった。始末に困り果てて殺害して、自分も死のうと思ったが死にきれなかった。イタリア映画「明日では遅すぎる」で思春期ものが日本でもつくられ、性典ブームとなった。三島由紀夫の「潮騒」もこのブームの延長線にある。戦時中に性を抑圧した反動で、戦後に急激に性は解放されたが、性教育は遅れをとり、明日では遅すぎる状態となった。
« 忽然と消えたと思っていた児童文学館はゾンビのように生きていた | トップページ | 井上靖と登山 »
「日本史」カテゴリの記事
- 河越城の戦い(1546年)(2024.04.20)
- かえり船(2024.03.23)
- 鍋島騒動(2024.03.20)
- 勘解由使(2024.01.14)
- 藤原兼家(2024.01.12)
コメント