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2011年1月29日 (土)

ドナ・ドナ・ドーナ

    天地真理が昭和48年、パリに行ったとき、ジョーン・バエズにキスしてもらったとうれしそうに「スター千一夜」で語っていた。バエズは「ドナ・ドナ」で知られるフォーク・シンガーで当時の若者なら誰でも知っていた。「ドナ・ドナ」は荷馬車に揺られて子牛が市場に売られていく歌と思うだろうが、実は作詞家のイツハク・カツェネルソン(1886-1944)はポーランドのユダヤ人で、イスラエルの労働リーダーとなり、アウシュビッツの強制収容所で亡くなっているので、歌の中には民族虐待への恨みがこめられているもののようである。アメリカではジョーン・バエズが歌ったが、のちにヨーロッパではクロード・フランソアが歌った。1960年代というのは一つの歌が世界にすぐに広まっていくというさきがけの時代だった。ギリシア出身のヴィッキーが「待ちくたびれた日曜日」「私の好きなチョコレート」「白い十字架」「カーザ・ビアンカ」といずれも日本語で歌いヒットした。天地真理が「恋はみずいろ」をカヴァーしたり、「ちいさな私」が「水色の恋」と改題されたのもヴィッキーの人気にあやかったものであろう。

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