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2011年1月16日 (日)

センター試験の傾向と対策

    センター試験問題が新聞で公表されている。世界史Bは全問選択問題なので、歴史は暗記物という言い方は時代遅れとなった。むしろ理解力が求められている。ど忘れで答えられなかった、という言い訳は通用しない。むしろ古代から20世紀末の現代史まで、イスラームやインド、アフリカなども含めた歴史事象の幅広い把握が要求されている。固有名の暗記は求められないが、事件、出来事の経過、順序の理解は必須である。たとえば、エジプト史で、①アレクサンドリア建設②プトレマイオス朝滅亡③アラブ人によって征服された、など簡単であるが、歴史の流れを問う設問なのであろう。

   異文化接種を問う出題も目立つ。トルコ系遊牧民はイスラームなどの諸宗教を受容した。イスラーム教徒の多数派はスンナ派(スンニー)と呼ばれ、小数派はシーア派。11世紀トルコ人が建国したセルジューク朝(1038-1194)はスンナ派。エジプトを征服してカイロを建設したファーティマ朝(909-1171)はシーア派。(解答番号30)。スンナ派は多数派と覚えよう。

    ただし、受験生たちの成績に差をつけるためには、一見難しいように見せて、実はやさしい、というテクニックをとっているように見える。たとえば第3問の21である。「ライヤットワーリー(ライヤートワーリー)制」とは難問であろう。むかしの山川出版社の教科書「世界史B」には無い。現在のものはわからない。手元の数研出版の「世界史辞典」では「ザミンダール」の項目でふれている。つまり18世紀イギリスのインドで、ザミンダール(ザミンは土地、ダールは保有者の意)は、北インドで行われた税制で、領主層の地税納入制度。ライヤットワーリー(ライーヤトワーリー)制は南インドの耕作者(ライーヤト)に土地保有権を認め、彼らから直接地税を徴収することである。つまり④の設問は×。もちろん、ライヤットワーリーを知らなくても、「1960年のアメリカではヴェトナム戦争の費用が国家財政を圧迫した。○」と理解できれば、正解できる。印象としては、難しい出題は引っ掛け、ダミーのようなもので、正解は重要な事項というのを受験生は頭の片隅にいれておくことだろう。つまり出題者と受験生との知恵くらべ。これが本当の歴史を勉強した人が実力が発揮できる問題であるかはさておき、やはり受験勉強というのは試験対策の上手な者が勝利するという印象はある。

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