ドルバック「キリスト教暴露」
1761年に秘匿出版された「キリスト教暴露」は、ドルバック(1723-1789)の哲学、宗教関係の著述としては最初のものであった。そのなかで「宗教は人間の幸福と進歩の敵である」と断言した。ポール・アンリ・ティリ、のちのドルバック男爵が生まれたのは1723年12月8日、ライン河沿いのエーデスハイムという小都市であった。父のヨハン・ヤコブス・ディートリヒや母のヤコベア・ホルバッハについては何も知られていない。ドルバックの将来を決定したのは伯父のフランツィスクス・アダム・ホルバッハであった。この伯父はルイ14世末期のパリへ移住して、事業で産をきずいた。若きドルバックはパリで、ディドロー、ルソー、グリムら啓蒙思想家と交遊した。とくにディドローを通じて百科全書に鉱物学、化学、博物学などの項目を執筆した。彼は主著「キリスト教暴露」において「キリスト教徒は、実は真実の美徳をなにひとつ持たず、国家にとっては無用の長物であり、市民としては迷惑きわまる危険な存在にすぎないであろう」と述べている。
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