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2011年1月24日 (月)

図書館長は有資格者に限定するべきか

    現行法令では政令に定める公共図書館の館長は司書資格を有しなくてもなれることになっている。これに対して長年、図書館長は有資格者であるべきだ、という意見はよく聞いた。名館長といわれた信田さんなどベテランの図書館員に多い意見である。(信田昭二「館長には司書有資格者が必要」図書館雑誌1989.9)これに関して、経験的な感想をのべたい。

    かつては補助金をもらうためには図書館長は有資格者でなければならいという法令が定められていた。現在は撤廃されている。むかし図書館建設が決定したある自治体では、若手の職員に通信教育で司書を取ることを命じて、俄か館長にしたてたという笑い話もある。結局、図書館は補助金を得て完成したが、ご本人にとっては資格を取るための心労、プレッシャーは大変だったらしく、数年で辞職してしまった。

   もちろん図書館内に長年勤める職員のなかから、生え抜きの司書を館長に据えればそれでよい話であろう。ところが少し大きい規模の図書館ならば、館長というポストもいろいろあって、現場の叩き上げよりも、外部からもってくるほうが、当局にとっては都合のよい人事ができる。図書館現場としては、当然、職場のことをよく知っている職員が館長になってくれればよいと考えるだろう。しかし、大所高所からみると、これにもいろいろ問題点があるようだ。むしろこの問題のほうが弊害となる職場もある。

   長年、その職場にいる人が所属長になると、これまでの人間関係から、派閥に属する人は意見が通りやすくなり、反対派は退けられてしまう。新館長は職場内の問題には精通しているので、自分の意思で決定できる。反対意見には耳を傾けなくなる。もしかりに、図書館には素人だがマネンジメントに能力のある新館長が着任すれば、派閥の両方から意見を聞き、公正な判断で処理することも期待できる。それに図書館職場はとかく人事が硬直しやすく、旧弊がはびこりやすいので、新風をいれることができる。行政・お役所にはつねに人事刷新することは不可欠である。ながく同じポストにいれば業者との癒着はおこりやすい。田舎にいくほど名館長という人がいて、10年、15年、20年と館長職にとどまる人がいるが、実態は長く続けたことによる悪弊もある。ただ表面化しないだけである。

  図書館長を法令で司書資格のみにすれば、限られた人材しかポストにつけず、人事の硬直化は免れない。ものごとには一長一短あろうが、自分の経験から言うと、管理責任者(マネンジメント)というのは、専門家(スペシャリスト)でなくてもよいと考えている。

    「図書館長には有資格者が必要」という考えは図書館員なら誰しも考えていることだろう。信田さんや図書館界が声を出してからでも20年以上が経つ。しかし、未だ実施されないのは、案外と本音では、みんなが司書では館運営が上手くいかないことをわかっているからなのではないだろうか。信田論文は有資格者の図書館のほうが図書館経営が上手くいっていることをデータ分析によって立証しようとしたものであるが、現在のように館運営に効率化が求められる時代にあって、情報のスペシャリストの館長よりも、管理運営に能力を発揮する館長のほうが適任のように考える。

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コメント

韓国で図書官学を専攻している学生です. 韓国でも似ている問題が論議されているのでちょっと助けにならないか考えられて私のブログに該当 postingを翻訳して見ました. リンクはhttp://libkeeper.blogspot.com/2011/01/by.html です. もしリンクはです. し問題があったらいつでも削除措置するのでメールをくださればありがたいです.

コメントをいただきましてありがとうございます。翻訳までしていただき感謝しております。ひとりでも多くのかたがたに読んでいただくことは喜びであります。

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