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2011年1月22日 (土)

育児書とロシア革命

    昭和46年のことだった。「育児の百科」(岩波書店、1967)など小児科医として知られていた松田道雄(1908-1998)が河出書房の「世界の歴史」の第22巻「ロシアの革命」を執筆したので、みんな驚いた。「育児と革命」の二つは無縁のように見えたからだ。ところが松田の脳のなかでは繋がっている。

    もっとスケールの大きい例としてはジャン・ジャック・ルソーだろう。ルソーは今日ではフランス革命の自由・平等・博愛の基盤となる社会思想を形成したことで知られている。ところがもともとは、音楽の記譜法、音楽論、音楽療法を研究していた。やがて「エミール」のような教育思想、そして「人間不平等起源論」へと転換していく。

   「セーラー服と機関銃」のような奇妙な取り合わせ。 このような事例はいくらでもあるだろう。「図書館史」(芸艸社、1936)の和田万吉は「能と謡」(有光社、1945)がある。「ロシアにおける広瀬武夫」(弘文堂、1961)の島田謹二(1901-1993)は、「フランス派英文学研究」(南雲堂、1995)がある。「支那貨幣考」(京都印書館、1944)の穂積文雄(1902-  )には、「小泉八雲の社会思想」(有斐閣、1949)や「英国産業革命史の一断面」(有斐閣、1956)がある。いわばヘンリー・ベッティンガーが提唱した三角測量法式研究法であろうか。専門分野とすこし離れた地点を探り、両地点を比較検討して、面としての広がりをもたそうとする。比較文学や東西交渉史など文学や歴史、芸術などの分野で試みられるが高度な学術研究となると至難である。成功例は語学力のある学者たちである。いずれも長寿であるということも共通している点である。

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