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2011年1月17日 (月)

あれから16年

    日本の国土には自然災害の発生しやすい条件が多い。火山の噴火、地震やこれにともなう津波の発生、梅雨期の集中豪雨や台風などの豪雨による土石流や洪水、豪雪と融雪期の洪水および地滑りなど、気象災害も多い。日本での地震速報はほとんど毎日のようにあるが、近年は世界各地の自然災害のニュースも多い。2004年のスマトラ沖地震では28万人以上の死者がでている。2005年のパキスタン地震は8万6千人以上、2008年の四川大地震では約6万9千人の死者がでた。2010年1月のハイチ地震では31万2千人と発表されたが正確な数は不明。

    このように「自然災害」が今日では重要なキーワードの一つであるが、「自然災害」という用語は1970年以前の百科事典には項目に見当たらない。もちろん地震、台風など個別の項目はあるものの、トータルな「自然災害」の研究は環境問題がクローズアップされてからのようである。おそらく世界で最初に研究対象としたのは、ドイツの哲学者イマヌエル・カントではないだろうか。ドイツといったが、実は彼が生まれた町ケーニヒスベルク(「王の山」の意)は当時は東プロイセンでドイツだったが、現在はロシアの領土になっている。つまりポーランドとリトアニアに挟まれたロシアの飛び地なのだ。スターリンが同志のカリーニンに因んで「カリーニングラード」と命名したが、いま改名論議が再燃し、昔のケー二ヒスベルクに戻そうという意見もある。そのカントが31歳のとき、ポルトガルのリスボン大地震のニュースを聞いた。1755年11月1日のことである。死者は6万人を超えたといわれる。自然科学者でもあるカントはいち早く「地震について」という研究論文を発表している。地震は契機それ自体を抑えることが不可能であり、不可抗力ととらえられるために「自然災害」とみなされるが、知性で科学的に研究しよう試みた初期の学者なのである。

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