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2010年12月31日 (金)

古典美への旅

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    仏像ブームである。奈良の社寺も今年は平城遷都1300年祭で観光客が賑わったそうだ。ただ信仰心というよりも携帯片手に博物館、文化財めぐりという感じである。ケペルも奈良大和路の古寺を訪ね歩きたいという願望はあるものの、すこし歩くと足がだるくなるり疲れるのでもう無理かもしれない。せめて和辻哲郎の「古寺巡礼」と亀井勝一郎の「大和古寺風物誌」を書架から取り出してパラパラと読む。大和路を訪ねるなど年寄りが書くことと思うだろうが、和辻が30歳、亀井も34、35歳くらいのときに書いている。西洋の学問を学んだ2人が、日本精神にふれた驚きがあふれている。「だが私には法輪寺を訪れるもう一つの理由がある。それはこの寺がいかにもみすぼらしく、荒廃の情況を呈しているからである。私は荒廃に心をひかれるのだ」と亀井は書いている。法隆寺、法輪寺、法起寺は「斑鳩三塔」として知られるが、亀井の訪れた頃は日中戦争が始まった昭和12年頃でさびしかったのだろう。いまは車が走り、ゆるキャラのシンボルが賑やかで、信仰の対象としての巡礼の旅ができるのだろうか。「古寺巡礼」「大和古寺風物詩」以後60年以上が経つが、入江泰吉の写真集が有名であるが、二書に優るような巡礼記が書けないのはいかなる理由からだろうか。

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