沖縄人国記
琉球は近世以降薩摩藩の支配下にあったが、明治4年廃藩置県のさい、いったん鹿児島県に編入されたが、翌年には琉球藩として、国王尚泰(1843-1901)を琉球藩主に任じた。さらに明治12年、松田道之は軍隊を率いて来琉し、球藩を廃して沖縄県とし、琉球藩主に東京居住を命じた。清国はこれを承認しなかったので、沖縄の帰属は国際問題となり、米国大統領グラントの調停で南部の宮古、八重山列島を清国に、北中部を日本に分割する分県改約が行われ、これら一連の政治過程を琉球処分という。明治28年5月の日清戦争下関条約で沖縄の日本の帰属が決定した。「琉球新報」を創設したジャーナリストの太田朝敷(1865-1938)、言語学者の伊波普猷(1865-1947)、自由民権運動家の謝花昇(1865-1908)らがいる。謝花は当山久三(1868-1910)らと沖縄倶楽部を組織し、「沖縄時論」を発行、県政批判と沖縄国政参加運動を展開したが、弾圧により挫折。職を求めて山口に赴く途中で発狂、不遇のうちに沖縄で死去した。
沖縄は古くから民俗芸能に恵まれ、歌い踊ることが盛んであったことから戦後も芸能界で活躍する人が多い。沖縄の日本復帰の前年、「17才」でデビューした南沙織(写真家篠山紀信夫人)は沖縄の風とともに現れた。南より前の沖縄の芸能人といえば、「川は流れる」の仲宗根美樹ぐらいしかいなかった。現在では安室奈美恵、夏川りみ、今井絵里子、島袋寛子、知念里奈など女性アイドルは多い。男性ではフィンガー5、「花」の喜納昌吉。女優では、「ちゅらさん」の国仲涼子、「ヤマト」の黒木メイサ、「恋空」の新垣結衣、「ごくせん」の仲間由紀恵、「どんと晴れ」の比嘉愛未、石田ゆり子・ひかり(母親が石垣島出身)、モデルの山田優など美人揃い。ほかに女優の平良トミ、腹話術いっこく堂。スポーツ界では女子ゴルフの宮里藍、宮里美香、諸見里しのぶ、などが活躍。
産業では伝統菓子ちんすこうの新垣筑登之淑康、オリオンビールの具志堅宗精(1896-1979)、牡蠣の養殖に成功した宮城新昌(1885-1967)などがいる。
政治では日本復帰には仲吉良光(1887-1974)、初代県知事の屋良朝苗(1902-1997)らが活躍。現在の沖縄県知事は仲井眞弘多は琉球王国時代に渡来した子孫である。しかし沖縄県民が望む、「基地のない平和な沖縄」は、いまだ実現されていない。
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