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2010年12月 7日 (火)

年金病

    年金病という言葉がある。もちろんどんな医学事典や広辞苑、現代用語の基礎知識、imidasなどを調べても見当たらない。医事評論家の水野肇の「夫と妻のための老年学」(1978)という本にある。

   人間は生きる目標のようなものがなくてはならないのはいうまでもない。それを失ったとき、人間は病気になることが多い。「年金病」といわれる病気がある。もちろん、ひとつの疾病ではなく、年金をもらうようになると病気になるというマスコミコトバである。アメリカの研究だが、60歳ごろの男の人たちのなかで、退職してそのまま家に入った人と、退職しても何か働いている人の健康状態を調べたところ、そのまま家に入った人のほうが、成人病にかかる率が圧倒的に高く、死ぬ率も高かった。この原因についてははっきりとはしないが、ひとつは何もすることがないと思うことがストレスになるのだとみられているのは、注目しなければならない。日本でも、戦前、役人の恩給の平均支給年限は約3年だったといわれる。つまり、恩給をもらうようになると平均3年で死ぬということである。(もっとも、現在は、天下りで働いていても年金がでるのでこのような数字にはならない)このように生き甲斐を失うと病気になるという例は多い。

    民間の終身年金というのがあって退職金などまとまった額を預けて、2ヵ月に1回、定額をもらう制度だが、だいたい78歳か79歳まで生きていないと、自分の預けた金額を受け取らずに死んでいくそうだ。もちろん100歳まで生きれば利息分も十分もらったことなるのだが、ほとんどの人は掛けた年金額を手にすることなく死んでしまうのだろう。まあ所詮はあの世へ金を持っていけるわけでなく、この世で生きている間に無一文にならなければ良しとしなければならない。水野肇は「年金病」という言葉を使ったが、この言葉はそれほど使われることはなく、また辞書にのることもなく、流行しなかった流行語となった。

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