アニーよ銃をとれ
西部のならず者たちの中で彩を添えるヒロインが二人いる。カラミティ・ジェーン(1852ころ-1903)とアニー・オークリー(1860-1926)である。だがジェーンは荒くれ男と酒場で喧嘩をする任侠の女であったが、アニーは酒場は似合わない可憐なショービジネスの少女であって、二人は対照的である。
カラミティ・ジェーン、本名マーサ・ジェーン・カナリーは、伝説では馬と拳銃の名手で、男装して軍隊のスカウト(斥候)となり、よく味方の災難(カラミティ)を救ったのでカラミティ・ジェーンと呼ばれたという。実際は軍隊の雑役婦をつとめ、娼婦のようなこともしていたらしい。ワイルド・ビル・ヒコックの恋人という噂も根拠はない。
アニーは本名フィービ・アン・モーズィズといい、1860年8月3日、オハイオ州ダーク郡に貧農の子として生まれた。上には姉たちが4人いた。幼いころから一家を支えるために、ウサギ、リス、ウズラ、カモなどをライフルで撃ち、それを現金に換えていた。シンシナティに出て、射撃の第一人者であったフランク・E・バトラーと試合をして勝ったという話は、本当ではないらしい。(フランク・バトラーとはのちに結婚する)。後にバッファロー・ビルが率いる世界最大の屋外の見世物、「ワイルド・ウエスト・ショー」に参加することになり、たちまち一座の花形となった。そして女の射撃名人として、全米だけでなく、ヨーロッパ各地をも巡業した。17年間、ショー生活から引退した後、1926年11月3日、アニーは故郷で亡くなった。
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