村山たか女と金福寺
金福寺庭園(京都市左京区一乗寺)
村山たか女(1809-1876)は昭和38年のNHK大河ドラマ「花の生涯」では淡島千景が演じた。以後、村山たか女は美女と相場が決まっており、舞台でも岡田茉莉子、水谷良重、佐久間良子が演じている。だが、実際の村山たか女は、井伊直弼より6歳年上であり、己巳の文化6年のうまれであるから桜田門の時は、すでに50歳を超えた御婆さんであった。舟橋聖一の「花の生涯」による影響が大であるが、たか女は元は京都の芸妓であったが、井伊大老の開国政策を助けるため、隠密となり、京都における攘夷論者たちの情報を大老に通じ、安政の大獄に一役買った。しかし弾圧政策は水戸浪士の直接行動を誘発し、万延元年大老は江戸桜田門外で暗殺された。その後、たか女は、壬生に潜伏中の浪士に襲われ、三条河原で三日三晩も晒し者にされたが、後助けられ、文久2年に尼僧となって金福寺に入り、名を妙寿とあらため、明治9年まで14年間過ごし、当寺で生涯を終わった。
仏日山金福寺(こんぷくじ)は貞観6年(864)、安恵僧都が慈覚大師の遺志により創建され、大師自作の聖観音像を本尊とした天台宗の寺院であった。その後、一時荒廃していたが、元禄の頃、鉄舟宗珠和尚が再興し、臨済宗南禅寺派の寺となった。その頃、鉄舟は松尾芭蕉と親交があったことから芭蕉がよく金福寺に訪れていた。その後、和尚は芭蕉が使っていた庵を「芭蕉庵」と名付けたといわれる。
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