ディオゲネスになりたい
アレクサンドロス大王は哲学者ディオゲネスの評判を聞いて、コリントにいた彼を訪ねた。哲人は酒樽を住まいとし、毎日のんびりと暮らしている。大王は「お前の好きなものは何か。望みがあったら遠慮なく申してみよ」というと、日なたぼっこをしていた哲人は、面倒臭さそうに、「そこに立っていられたのでは日陰になって困る。早くどいてくれ」と答えて、大王を追いはらおうとした。哲人は何よりも束縛をきらい、自由と酒を愛した。大王は、「もし私がアレクサンドロスでなかったら、ディオゲネスになりたい」といったという。
この逸話は世界史の中でも秀逸のエピソードとしてよく知られる。酒を愛し酒樽で寝ているディオゲネスもよいが、教えを請おうとした大王の人柄も好ましいものである。史書によれば、アレクサンドロス大王は人に対しては傲慢さや尊大さはなく、謙譲であったと伝えられる。
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