トーキーで女優の美しさが変ってきた
1930年代になって女優の美の観点が変化してきた。サイレントの時代はメアリー・ピックフォードなんかのやわらかい美人が多かった。しゃべれないからともかく見た目が大事だ。トーキーになってから、顔がきれいとかいうより動作のなかにエレガントな感じとか、話し方に好感がもてる、という要素も人気にとって大事なポイントになる。顔やメイクだけでなく、髪型も短くしたりして、ボブ・ヘアでイブニング・ドレスを着たりしている。ケイ・フランシスやキャサリン・ヘプバーンのようなニューヨーク・スタイルが新鮮にみえてきた。1940年代になるともっと庶民的なスターがでてくる。ジューン・アリスンは声はしゃがれているし、顔は十人並みの器量だけど、明るくて性格がよさそうな感じ、で主演作が続いた。日本ではジューン・アリスンのようなスターはなかなかでてこなかった。戦後も映画会社専属の女優たちはみな美人ぞろい。個性的といっても作られた個性だった。アイドルといわれたスターはむしろお茶の間テレビや歌謡曲歌手からでてきた。「時間ですよ」の隣のマリちゃん、天地真理はほんとうの意味でアイドル第1号かもしれない。その後、日本では「可愛い」が大きな基準となってアイドルが生れた。松田聖子、岡田有希子たちはその典型だった。いわゆるお人形さん的なアイドルから等身大の生身の魅力をもった女性像を具現化するまでには時間がかかった。小泉今日子はアイドルから出発して、のほほんとした和み、やわらかさがでてきた。それは小林聡美などの影響によるものであろう。21世紀に入って日本や韓国では癒しや、落ち着きを与える、いい感じの女優に人気が集まる。美人揃いの韓国にあってキム・ハヌルやチョン・ドヨンは美人というよりも、性格がよさそう、という雰囲気で愛される女優さんである。最近の日本ではほとんどがこのタイプに近い女優が多い。上野樹里も美形というよりも、おおらかな性格が人気の秘訣であろう。綾瀬はるかは美形であるがその天然キャラを前面に出して主演作が続いている。ストレス、うつが多い時代、映画にも癒しの効果が求められるのだろう。
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