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2010年10月18日 (月)

戦前の日本の政治体制はファシズムか?

     ベルリンのドイツ歴史博物館でナチスのヒトラーをテーマとする展覧会が話題になっている。これまでドイツではヒトラー個人を取り上げることはタブーとされていたが、戦後初の大規模なヒトラー展として注目されている。わが国で東条英機展が行われるということはまず有り得ないだろう。しかし東条英機をヒトラーと並べて論ずることにも無理があるだろう。統制派の能吏ではあるが、独裁者とはいえない。またファシズムという概念も違和感がある。昭和16年10月18日の東条内閣成立から69年が経つ。

    ファシズムとは高校世界史で重要な用語の一つだろう。もともと古代ローマの儀式用のファスケス(棒束)、転じて団結の意に由来するという。狭義では、イタリアのファシスト党の運動、並びに同党が権力を握っていた時期の政治的理念およびその体制をいう。広義に解釈すればナチス政権のドイツ、日本、スペインなど全体主義的で、議会政治の否認、一党独裁、対外的には侵略政策をとることを特色とする。ところで問題は、戦前の日本の政治がファシズムにあたるかどうか「日本ファシズム論」はなかなか難しい問題である。もっぱら何らかの対象を非難するための用語として使われることがしばしば見られたが、学問的な定義があいまいなだけに、ヨーロッパで見られた政治体制をそのまま日本に当てはめることには無理がある。戦後の一時期、戦前の軍国主義体制への嫌悪から、「ファシズム」とか「超国家主義」とか論文に頻繁に使われたが、もっと歴史の事実に即して分析すると、日本の軍部中心の支配体制は必ずしもファシズムとはいえないものである。既成の天皇制支配機構や議会体制も存続しており、東条英機をヒトラーやムッソリーニと同等に見なすことはあまりに単純である。ナチス・ドイツと比較して考えると、せいぜい戦時体制あるいは軍国主義にすぎず、政治体制としてのファシズムは日本においては成立しなかったという見方が今日では有力である。

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