どこに消えた草薙剣
天皇の御璽である八咫鏡、草薙剣、八坂瓊曲玉を「三種の神器」という。その起源は、天照大神の時代にまでさかのぼる。天照大神が天の岩戸にこもったとき、神々が八咫鏡と八坂瓊曲玉をつくって榊の枝に祈祷したところ、天照が岩戸から出てきたことに由来する。草薙剣は、スサノミコトが出雲で八岐大蛇を退治したとき、その尾から出てきたもので、天照大神へ献上された。天照がニニギノミコトを地上につかわす際、この「三種の神器」を授けた。
とくに鏡は、天照が「私だと思って、そばに置きなさい」と告げたので、歴代天皇は常に手元に置いていた。だが崇神天皇は、この鏡と草薙剣を、大和の笠縫邑に移してまつり、手元には模造品を残した。やがて本物の鏡と剣は、垂仁天皇の代に伊勢神宮へ移され、ヤマトタケルが遠征に向かうとき、倭姫命が彼に草薙剣を授けた。剣はのちに尾張国の熱田神宮に安置された。なお、八坂瓊曲玉だけは、そのまま天皇家が所蔵している。鏡は1005年、 1040年の2回の内裏の火災で焼けてしまい、かけらのみが現存するそうである。剣と玉は、安徳天皇が壇ノ浦入水する際、いっしょに海中に没してしまった。運よく玉は引き揚げられたが、剣は見つからなかった。そこで剣は模造品を作り、いまは皇居にある。つまり、本物の草薙剣は、今も海底に沈んでいることになる。
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初めまして とっても興味深いです。
ありがとうございます。
投稿: 将 | 2011年9月 3日 (土) 12時42分