一冊の本
鈴木章・北海道大名誉教授と根岸英一・米パテュー大特別教授がノーベル化学賞を受賞された。苦学されたお2人の受賞を心から喜びたい。鈴木さんはあるときブラウン博士のテキストを読んだ。それまで数学を専攻していたが、化学の世界にわくわくする喜びを感じた。本は700頁以上の厚いものだがアジア人向けのザラ紙でできた粗末なもの。鈴木さんはボロボロになるまで何度も読んだ。人の運命をかえた一冊の本というのは基本的なことが書かれているテキストや概説書のようなものが多い。いま書店に多く平積みされて売られている「あなたの運命を変える黄金の七つの法則」などという類の本で道を拓くことができるだろうか。もちろん鈴木さんは「北海道の二宮金次郎」といわれるほどいつも読書していたそうだが。ともかく一冊の本との出合いは大切である。
« 名作は夜つくられる | トップページ | 江戸の海外交流の実態(本当に鎖国だったのか?) »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 紙の寸法の話(2023.03.17)
- 冨山房と坂本嘉治馬(2019.03.23)
- 戦地の図書館 海を越えた一億四千万冊(2018.08.13)
- 素敵な本との出会いを求めて(2018.03.18)
- 校正ミスはなぜおこるのか(2023.05.19)
コメント