図と書について
図書学とは、あまり聞きなれない学問かもしれないが、図書を対象として、これを科学的に研究する学問をいう。大正13年に田中敬の著書に「図書学概論」というのがあり、書誌学と区別する意味で使用された。そのころの図書館員は図書館学が未発達だったので、書誌学をするものが多かった。古い図書館雑誌などを見ると、図書館の研究よりも、書物に関する研究のほうが多い。そして書誌というと英語のビブリオグラフィーやある主題に関する参考文献目録を意味するので、これらと区別するため図書学を長沢規矩也は闡明にした。
ところで「図・書」とは今日ではbookの意味で使われているが、漢籍を調べると、地図と書物という別々のものを指していたらしい。江戸時代の日本人もこのことは理解していたらしく、「圖・書」を「としょ」と読む事はなく、「ずしょ」と読んでいた。つまり「圖」(ず)とは地図のことである、「書」(しょ)が書物のことである。「圖」の「口」は「くにがまえ」で、囲むという意味である。啚は米倉を表した。米倉は耕作地の境界、それを表した地図を意味している。
« 柳腰外交で国滅ぶ | トップページ | 時代劇ブームの再来は本物か? »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 紙の寸法の話(2023.03.17)
- 冨山房と坂本嘉治馬(2019.03.23)
- どんな本を読もうかな?(2018.10.26)
- 戦地の図書館 海を越えた一億四千万冊(2018.08.13)
- 素敵な本との出会いを求めて(2018.03.18)
コメント