王妃と詐欺師
カリオストロ伯爵は窃盗、詐欺、女衒、紙幣贋造など悪事ならなんでも行う稀代のペテン師である。本名はジュゼッペ・バルサモ(1743-1795)といい、シチリア島パレルモの貧しいリボン商人の子であった。修道院を追放されて、ヨーロッパ各地を転々とし、そのあいだに魔術や錬金術を身につけた。偽名をつかってパリの社交界に入った。そのころマリーアントワネットは妊娠していたが、毎夜のように怖い夢をみる。そこでカリオストロに占ってもらおうと思いついた。カリオストロは、まず一人の処女に催眠術をかけてから、水の入ったガラス瓶をじっとみつめている。カリオストロは何が見えるかたずねた。「王妃さまが男の赤ん坊をお産みになっているのがみえます」と答えた。この予言は的中して、アントワネットは数週間後、無事男の子を出産した。これよりカリオストロと王妃の親交は始まった。有名なラ・モット伯爵夫人の「首飾り事件」(1785年)はカリオストロは無罪になった。王妃も実際何ひとつ責任がなかったのであるが、民衆の信頼は大きく失うこととなった。これがフランス革命の原因の一つという人もいる。カリオストロは詐欺がばれて、パリを離れ、ローマで逮捕されて終身刑で獄死した。マリーアントワネットも浪費と逸楽の生活が国民の恨みを買い、1783年断頭台で処刑された。
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