コロンブスとオリノコ川
今では誰でも知っているようなことだが、広大な南アメリカは、北アメリカにつながるひとつのせまい陸橋のところから南半球に折れ曲がっている。新大陸の発見者としての栄光につつまれているクリストファー・コロンブス(1451-1506)だが、彼自身はルネサンス的合理性と中世的神秘主義が混沌としていた人物であった。第1次航海(1492年)でサン・サルバドル、キューバ、エスパニョーラを発見したものの、彼は死ぬまでインドに到着したものと信じていた。
そして、第3次航海(1498年)では南米のトリニダード島を発見、その島をまわって対岸のパリア半島に到着した。部下たちはパリア湾にそそぐオリノコ河口のデルタに上陸した。これはヨーロッパ人とアメリカ大陸との最初の接触だった。コロンブスは最初これを島だと主張したが、オリノコ川から流出する水量が多いので、「いままで知られなかった非常に大きな大陸(ティエラ・フィルメ)の一部」と判断した。ところが、この地域を探検しているうちに、コロンブスは地上の天国の入口のような感じにとらわれ、「オリノコはその源を地上天国に発している」と国王に報告している。
オリノコ(Orinoco)とは、インディアンのカリブ語の名詞で「川」を意味する。これがスペイン人に固有名詞と間違えられ、地名になったものである。
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