おしらさま信仰
東北地方の民家の神棚には養蚕の神様「おしら様」が祀られている。男女一対の桑の木の偶像で、馬頭のもの、鳥帽子を被ったものなどがある。「おかしらかみ」「おしらほとけ」ともいう。毎年、一家の主婦が新しい布ぎれを重ねるので、顔の出ている貫頭型以外の御神体を見た人は少ない。「おしら」という名称の由来や信仰の起源など明らかでない。おしら様の祭文となり、祭りの日に巫女によって唱えられる。もともと中国の四川省に起源譚が考えられる。娘に恋して殺されたウマの皮が、娘をくるんで天に昇り、のちにウマの皮はクワの木の下に落ち、娘はカイコに化した。そのとき現れた養蚕の神は馬頭娘とよばれ神としてまつられ、ウマの皮を着た娘が神体となっている。日本では「おしら様」の由来譚は土地によって少しずつの差異がある。遠野町の伝説では、昔ある田舎に父と娘がいて、その娘がウマにとついだ。父はこれを怒って、ウマをクワの木に繋いで殺した。娘はそのウマの皮をもって小舟を張り、クワの木の櫂を操って海に出てしまったが、後に悲しんで死んだ。ある海岸に打ち上げられて、その皮舟で娘の亡骸から、湧き出した虫がカイコになったという。
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