謎の農民画家
スペインのプラド美術館でブリューゲルの新作が発見された。「聖マルティヌスのワイン」と題する絵画で、美術史に残る大発見とされる。聖マルティヌス(316-397)はローマ帝国時代に農村に分け入って布教した司祭で、フランドルでは国民的崇拝をうけている。
ピーテル・ブリューゲル(1525-1569)は、「収穫」「雪のなかの狩人」「婚礼の宴会」「農民の踊り」など生き生きとした農民生活を描いた画家として知られている。だが、実際は庶民風俗を取材しながらも暗い宗教改革の時代の社会風刺した作品も多い。謎の多い生涯であるが、おそらく有力のパトロンと教養ある人をもち、ブリューゲル自身もルネサンス的教養人であったろうと思われる。
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