女中っ子
現在では忘却された感のある女流作家・由起しげ子だが、戦後再開第1回の芥川賞の受賞者である。素九鬼子は処女作「旅の重さ」を由起に送ったが、そのままになっていた。昭和44年に由起は亡くなり、筑摩書房が遺品を整理していたところ、偶然に素の原稿が見つかり、出版したところベストセラーになった。由起は林芙美子と並ぶ流行作家だったが、デビューは遅く40歳半ばを過ぎてからだ。「女中っ子」は人気があり、二度も映画化されている。山形県から上京し、お手伝いとして働く織本初と少年との心の交流が見事に描かれている。
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