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2010年8月30日 (月)

太宰治「葉桜と魔笛」「黄金風景」

Photo_2 小説「津軽」の像

    太宰治ブームである。生誕100年、没後60年を過ぎ、さらにブームは過熱しているようだ。最近、あまり知られていない作品「葉桜と魔笛」「黄金風景」(もちろんファンはよく知っているのかも知れないが)もドラマ化された。読んでみると5分とかからない短編だ。「葉桜と魔笛」は『若草』昭和14年4月号に発表された。島根県の山間の家に父し姉妹が暮らしている。父は頑固そうな学者肌の勤め人。妹は病気で寝たきりの状態。余命100日という。ある日、姉は妹あてのラブレターの束を読む。だがその男は妹が病気と知ると手紙は途絶えた。そこで姉が手紙を書いて、妹を慰めようと考えた。だが、「姉さん、心配なさらなくても、いいのよ」「あれは、ウソ。あんまり淋しいから、あたしに宛てて投函していたの」その時、ふたりは、軍艦マーチの口笛を聞いた。ひょっとしたら、父の仕業か。あるいは神さまのお恵みなのか。それは誰にもわからない。

    まあ、だいたいそのような話である。太宰の得意とする女性の口語文。秘密は口述筆記にあるらしい。前年、太宰は石原美智子と結婚し、妻に口述筆記をさせている。妻も太宰の力にあることがうれしかつたようだ。太宰はよどみなく口からスラスラと文章が浮かんで出てきたという。それと東北のゴタクという囲炉裏を囲んでの世間話をする風習も太宰のストーリーテラーとしての才能を醸成したらしい。また太宰の母たねは病弱で、越野タケ(旧姓・近村、1898-1983)が子守をしていた。タケが語る昔話や絵本を読んで、太宰は創造の世界を開化されたのではないだろうか。

    口述筆記で脱稿した「黄金風景」は、一連の「故郷もの」の始まりで、国民新聞短編コンクールに入選している。

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