三浦哲郎と太宰治との共通点
小説家の三浦哲郎が29日午前4時33分、うっ血性心不全のため亡くなられた。79歳だった。新聞の訃報記事を読んで太宰治との共通点が多いと感ずる。出身地は共に青森県(太宰は金木村・現在の五所川原市、三浦は八戸市)。大学での専攻は共にフランス文学(太宰は東大、三浦は早稲田)。交友・師弟関係として共に井伏鱒二に師事している。若いときから死の問題に向き合うことになる。太宰は自ら学生のとき心中事件をおこしている。三浦は2人の姉が自殺、2人の兄が失踪。文学として共に東北の伝承や昔話の語りが活かされている。純文学・私小説の基本スタンスも共通している。2人が大きく違う点は、太宰は芥川賞を熱望したが貰えず、三浦が若くして「忍ぶ川」で受賞していることだろう。昨今、小説が売れないという時代だが、文学賞だけで作品の良し悪しの基準とすることは文学の堕落になってしまうのではないだろうか。
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