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2010年7月 1日 (木)

森の生活と都会生活

   ジェーン・ワイマンの懐かしい映画「天はすべて許し給う」(1955年)をBSでみる。夫に先立たされた未亡人が若い庭師と恋に落ち障害を乗り越えて結ばれる愛の物語。平凡な筋のなかにアメリカ人の自然への考え方があらわれている。ワイマンは庭師ロック・ハドソンが建てた森の小屋でソローの「ウォールデン 森の生活」を見つける。庭師が愛読したソローとはいかなる人か。ソローはエマーソンの影響を受け、独立自尊と生命維持に最小限の要求を満たす実験的生活を実行した人である。定職につかず、結婚をせず、教会にも出席しない。もちろん投票さえしない。肉食、酒、煙草を遠ざけ博物学者でありながら罠や銃を用いなかった。彼が湖畔での生活体験と思索をまとめたのが「ウォールデン」である。彼が森での原始的な生活を送ったのは決して厭世的な理由ではなく、物質からの自己解放である。そこが東洋の陶淵明のような文人生活とは異なる。あくまで建設的なところがアメリカ人に支持されるところである。ハリウッドのスターにも、グレン・フォードが西部で牧場を経営したり、ロバート・レッドフォードがモンタナの森に住んだり、自然志向の人は多い。このころのロック・ハドソンも「ジャイアンツ」のように西部のたくましい男だった。だが、60年代あたりから、主演作も変化をみせ、都会的になっていく。主演のジェーン・ワイマンもアカデミー賞女優であり、夫のロナルド・レーガンは政治に意欲的で、妻のワイマンは歌とパーテーが大好き。現実の俳優生活と映画の役柄とは大きな隔たりがあるが、アメリカ人の理想的な生き方とはこの映画のようなものであったということがわかる。

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