アノミーと社会変動
エミール・デュルケム(1858-1917)は、社会の客観的変動過程によって生じた社会解体で個人が生ずる主観的に付随するその状況を「アノミー」(anomie)という概念で証明した。例えば、19世紀における資本主義的産業化による社会変動、両大戦期間の西欧社会に生じた既存の価値観の崩壊や信仰の揺らぎ、幕末維新の激動や1945年の敗戦で生じた士族層や大地主層のなかに急性のアノミーをもたらしたことなどが考えられる。だが社会変動におけるこのアノミー状況をもっぱらネガティヴなことと捉えることは誤りである。旧来の価値や規範の崩壊状況である反面、これに代替する新しい価値がひそかに胎動しはじめる状況にもある。むしろ活動を秘めたカオス(混沌)なのだ。
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