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[ショート・ラブストーリー]
菅沼憲二は潮田美穂子の会社の上司だった。美穂子は憲二を愛しているし、愛されていると思っている。だが憲二は結婚していた。かつての同僚だった妻と、小学生の娘がひとりいる。二人は4年前から交際していた。昨年の誕生日、憲二からダイヤがはめ込まれた指輪をプレゼントされた。誕生日の今夜、2人は居酒屋で待ち合わせた。奥の座敷でビールで乾杯した。「これを」と憲二はポケットから小さな包みを出した。「こんな所でなんだけど、やっと約束が果たせた」美穂子の左手を取ると、薬指にはめた。思わず涙ぐんだ。大丈夫、何とかなる、きっとなる。美穂子は胸の中で、その言葉を繰り返した。
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