1940年代女優論
ジューン・ハヴォック June Havocが3月28日、ニューヨーク近郊スタンフォードの自宅で死去した。享年97歳、1913年の生まれでビビアン・リー、ドロシー・マクガイアと同年。女優としての活躍は1930年代後半からだが、戦争で映画の輸入が途絶えていたので日本で彼女の存在が知られるのは戦後になってからであろう。終戦直後、堰を切って外国映画が公開された。イングリッド・バーグマン(1915-1982)やグリア・ガースン(1903-1996)、ビビアン・リー(1913-1967)という飛びっきりの美人女優ならいざ知らず、脇役女優に関心を示す御仁はおられまい。本国アメリカでは大女優として世界に訃報が発信されたが、いかなる女優なのか出演作品を並べてみよう。「鉄のカーテン」「剃刀の刃」「紳士協定」「恐喝の街」「淑女と拳骨」。「剃刀の刃」は21世紀フォックスの大作だがジーン・ティアニー(1920-1991)、「紳士協定」はドロシー・マクガイア(1918-1913)、「淑女と拳骨」はクローデット・コルベール(1905-1996)の印象しかない。やはり年増女優にはあまり興味をもてなかったのだろう。
マール・オベロン(1911-1979)はバーグマン、ガースン級のゴージャスな美人女優。ハヴォックより2歳年下。「嵐が丘」「謎の下宿人」など。
終戦直後、一番の人気女優はディアナ・ダービン。「春の序曲」は大入り満員だったが、「オーケストラの少女」を期待して見た男性客はガッカリした人もかなりいたと思う。次作の「クリスマスの休暇」も公開されたが、その後、ダービンの映画は日本公開すらない。むしろ無名の若い女優に人気が集まった。イギリス出身のペギー・カミンズ(ホフマン物語)やアン・バクスター(1923-1985)(剃刀の刃)などが本邦初お目見えの小悪魔的女優。知的なタイプではテレサ・ライト(1918-2005)が「偽りの花園」「ミニヴァー夫人」「打撃王」「疑惑の影」と立て続けに封切り作品が続いた。デイアナ・ダービン88歳、ペギー・カミンズPeggy Cummins84歳とみな健在である。「肉体の悪魔」のフランス女優ミシュリーヌ・プレールは87歳の現役女優である。
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