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2010年3月22日 (月)

教育の機会均等

    日本人の多くの親たちは自分の子どもの将来の幸福を願うであろう。子どもを義務教育をすませただけで自分の義務を果たしたとして、わが子を丁稚奉公させる親はいないだろう。もし成績がズバ抜けてよくて、学問がしたい、だが貧乏で上級の学校へ行けない次郎がいたとして、国家がその教育費用を補償して高校へ無償で行けるというこになるのであれば、普通で考えれば、まことに喜ばしい限りの話になるはずであった。ところが、これに朝鮮学校だけは除外するという政府判断がなされていれば話は別である。それだと、もし経済的に貧しくて、高校進学を諦めざるをえなかったとする。高校、大学を出ないことは就職範囲は限定される。日本社会で日本人と同じように生きようとしながら、スタートラインで差をつけられている。こうしたことが何年も制度として存続すれば、また格差が生まれ、新しい差別がうまれる。その差別に抵抗しようとしても、なにしろ少数派だから、多数決主義の社会はこれを相手にしない。この問題は、いわゆる「教育の機会均等」を奪う基本的人権の侵害に所在することである。日本国憲法は、基本的人権の尊重を「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」としてとらえ、「すべての国民は、法の下の平等であって、人権、信条、性別、社会的身分又は門地により政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」と規定している。しかし、現実には、部落差別をはじめ、在日朝鮮人や身障者に対する差別、男女差別等が厳然として存在し、多くの人々が、就職や結婚の機会を奪われ、人間としての幸福追求が阻まれている。現在59万人を数える日本に在住する韓国・朝鮮籍の人々に対しても、日本国民と差別のないように配慮することが必要である。この問題を考えるとき日本の植民地時代に強制的に連行され、過酷な労働や兵役等に課せられ、戦後そのまま放置されてきた朝鮮人の歴史を知らねばならない。

    ところで憲法上の解釈となるが、日本領土内在留外国人は日本国憲法上に保障された人権享有主体たりうるか?という論点を整理したい。もちろん憲法学者間で、肯定派、否定派と両論存在するであろう。しかし、判例では多く、肯定派、つまり日本の憲法上の人権を享有できるとしている。たとえばマクリーン事件では最高裁(大判昭和53年10月4日)は、憲法第3章による「基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみを対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶ」としている。憲法第26条に「すべての国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」とある。「能力に応じて、ひとしく」とは、教育の機会均等を保障することであり、高校無償化をめぐる問題で、子どもの教育を受ける権利が、拉致問題などの政治的理由で左右されてはならない。政府機関や政権与党といえども、憲法で保障された「教育を受ける権利」を自由勝手に制限し、差別化することは人道上、決して許されることではない。

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コメント

はじめまして。

>>この問題を考えるとき日本の植民地時代に強制的に連行され、過酷な労働や兵役等に課せられ、戦後そのまま放置されてきた朝鮮人の歴史を知らねばならない。在日朝鮮人の存在は、日本の戦争政策の犠牲であり、その責任は政府にある。


既に論破されている強制連行の話題を持ち出すのはおかしいと思います。政府には責任はありません。http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100220/plc1002200240001-n1.htm


それと朝鮮学校を無償化対象にしない、というのは民族差別ではなく、国籍の差別ではないですか。とはいえ国民国家ではそれは当たり前のことです。

つまり日本の憲法の恩恵を受けたい在日コリアンは帰化するか、さもなくば日本をあきらめて母国へ戻ればいいだけのことです。

日本の法律は密航者とその子孫のためにあるのではないと思いますが。

貴重なご意見、ご指摘をたまわりありがとうございます。政治、法律、歴史など諸問題が複雑に絡み合うだけに、整理がつかず我ながら粗い論だと思っています。弁護士会、日弁連の声明では「各種学校が無償化対象となる中での排除は差別にあたる」という論点で攻めています。外国籍であれば、対象を日本国籍に規定すれば問題はない、という人がいました。ただし、在日朝鮮人に憲法の基本的人権が適用されるかどうかは、当然のことながら、適用されるという判例があります。つまり教育の機会均等は保障されるべきだ、という考えを持っています。それとは話が違いますが、日本国籍を持たないで、日本に永住する人の気持ちを少しですが自分なりに真剣に考えています。日本に生まれ育ち、日本国籍を有している私にはなかなか理解することは難しいですが…。

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