プラトンの「ポリティア」
いまから2千数百年も前に書かれた、プラトンの現存の著作は36篇伝えられている。そのうち数編が偽作とされ、30篇前後、あるいは28篇が真作とされている。ほか碑文、叙事詩、30数篇の断片などが残っている。そのうちプラトンの代表作というべき著作が「ポリティア」である。これを「国家」とか「理想国家論」と訳するのは適切でない。確かにプラトンは本書において国家論を扱っている、それは本書を成立させた動機の一部をなすにすぎず、全体の内容をいいつくしてはいないからである。後世において、本書は「正義について」という副題で知られていた。この方が全体の主題を表すのにふさわしい。本書を一言でいうならプラトンは「政治とは教育である」という理想を述べている。それは衆愚政治に陥ったギリシア民主主義の病弊をつぶさに見てきたプラトンの悲痛な叫びであった。経済力、学歴、出自に恵まれたもののみが政治家となるが、脳ミソには哲学がない、こんな政治家が国民にとってどれだけ不幸であるか、いうまでもないであろう。プラトンの政治理念は、政治の目的は市民の一人一人その素質にふさわしい教育をほどこし、それによって得た各人の能力を正しく調和させて、共同体全体の幸福に資することであり、これが「正義」なのである。国家の安定はそれをなくしては実現できない。権力や法律によって市民を規制することは下策である。
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