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2010年3月24日 (水)

児童ポルノ規制と読書の自由

    東京都が18歳未満と判断される架空の人物の性描写を規制対象とする青少年健全育成条例の改正案を都議会に提出している。刺激的な性的描写のある漫画キャラが氾濫していことが背景にある。「児童ポルノのはんらんをはじめ、青少年をみだりに性の対象として扱う風潮を見逃せない」と元太陽族、作家の石原慎太郎が都議会で説明しているが、これほど矛盾する言動を平気でとる人も珍しい。たぶんポルノの規制はどんなに論議をつくしても基準が個人によって異なり、曖昧なものになるだろう。たとえば18歳に満たない架空のキャラクターの性描写はダメというのは大きな基準の一つだが、流石景の「GE~グッドエンディング」はどうなるの。ちょうど今週号「少年マガジン」は巻頭カラー。黒川雪、池谷昌、大沼リサが下着姿でベッドに横たわっている図柄。おそらくPTAの委員や児童ポルノ規制を推進派はこれをみて、けしんらことだ、というだろう。前後のストーリーなどは知らないでも、漫画はある意味で即物性、視覚性の芸術だから、エロい、と直感的に判断されると、開架室にあるのを見てクレームする。「これは児童ポルノだ。すぐ撤去しなければ、条例違反だ」と脅かされる。だが、このような小さな読書室にも「読書の自由」を守るという責任があるので、たとえ一個人からのクレームがあったとしても、すぐ開架から撤去したりはしない。(ピノキオ事件などの事例)雑誌などの場合、多数の作品が収録しているので、他の作品を継続する人の「読書の自由」を奪うことにもなる。そして当該作品がポルノであると認定を誰が、どういう基準でするのか、という具体的な過程が問題となる。問題の絵柄、黒川は高校生なのでおそらく18歳未満だろう。入浴シーン、胸の谷間、肢体など性を強調する絵柄は毎回、サービスのようにいれてくれる。描写は精緻のきわみ、パンティーストッキングのデンセンまで描かれている。ストーリーは草食系男子の内海は勇気を出して黒川に告白したが、恋は実らず、気まずい距離感にある。そんなとき、かつて恋した晶先輩が健人の浮気現場に遭遇する。内海は「晶先輩に謝れ」と、いつにない強気で迫るところで今週は終った。(いいぞ内海、成長したゾ)ドラマチックな展開、心が揺さぶられるセリフの数々、多角的アングルからの精緻な描写、すくなくとも石原慎太郎の小説よりは遼に芸術性は高い。ビルディング・ロマンスというのが外国にはあるが、これは草食系男子が成長して、恋に悩みながらも一人前の男子になる物語が骨子で、その成長過程に女性の心を理解しようとする誠実な会話が随所にみられる。もちろん思春期の物語なので当然、若い女の子が登場し、風呂に入れば、着替えもする。当たり前の場面が描かれているにすぎない。作家の流石景はエロを売り物にする漫画家ではなく、むしろ言葉や心理を大切にする作家であり、おどろくほど有望な新人である。遠近法を駆使した北斎のような浮世絵師の伝統が日本に生きづいていることを感じる。日活ロマンポルノの中から新しい自由な表現が生まれたように、映画、漫画などの視覚メディアの無定見な規制は芸術の破壊行為である。そもそもセックスは人間の深層心理に内在する問題だけに文学その他の芸術では抽象的に表現されるが、映画・アニメ・漫画の世界では自然に容赦ない具象的な表現は必然性をともなう。

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コメント

猪瀬直樹のブログに、何を規制したいのか明確に書かれています。

http://www.inosenaoki.com/blog/2010/03/post-7660.html

情報提供ありがとうございます。条文では「性交又は性交類似行為」とあり、単なる裸は対象ではないと猪瀬直樹さんは書いておられますね。(「言論表現の自由とは別モノ」より)ただ条例は自治体ごとに制定されるので全国同一基準ではないし、法令は解釈や運用しだいでかわるものです。大阪府も「2次元児童ポルノ」の規制の検討に入ったようです。ここでは近親相姦など反社会的な行為も含まれる可能性があります。表現者としては規制が強化されることによって、表現の萎縮や自己規制がなされ、自由な創作活動においては大きなマイナスになります。

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