童謡「ウミ」は戦争協力?じゃあ、朝日新聞は?
愛とか恋とか女々しく柔弱なものはいけない、となると歌謡曲は作れない。レコード会社も変なものをつくって検閲に引っかかるよりは、軍歌とか、軍国調歌謡曲をつくって売り出したほうが商売になるという太平洋戦争の戦時統制下の時代の話である。林柳波(1892-1974)は本来は明治薬学校出身の薬剤師であるが、詩人で教科書編纂委員もしていた。童謡「ウミ」「オウマ」や「ああわが戦友」で知られる。本日の朝日新聞の「うたの旅人」で童謡「ウミ」(昭和16年)も実は戦争強力だったという記事がある。三番の歌詞「いってみたいなよそのくに」が南方侵略を意図しているというのである。こんなことを言い出すと、戦時統制下、愛国心や戦意高揚に役立たたないものが世に出ることは稀である。「勘太郎月夜唄」(昭和18年)はヤクザの唄で許可されるはずもなかったが、三番の歌詞に「菊は栄える葵は枯れる」という一節をいれた。つまり菊(皇室)が栄えるということで、勤皇精神がよろしい、ということで許可がおりた。童謡「ウミ」も「いってみたいな、よそのくに」は海外雄飛の精神がよろしい、ということだろう。戦前のモノに一々ケチをつけたら、何も残らなくなるだろう。では朝日新聞って戦争協力しなかったのか?日清・日露の両戦争では対外強硬論で部数を伸ばし、太平洋戦争時は大本営発表の虚偽の記事で国民を欺いた責任を忘れてはいけない。
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