芭蕉発句集 あち~あめ
漂白の詩人といわれる芭蕉の旅の生活がはじまるのは貞享元年、41歳のときである。秋8月なかばに江戸を出、まず伊勢神宮に詣でたあと伊賀に帰郷し、そこから大和の当麻寺、吉野山を経て9月末に美濃大垣の季吟同門谷木因を訪ね、さらに10~12月の足かけ3ヵ月を名古屋ですごし、歳末ふたたび伊賀に帰って新年を迎え、その後、奈良、京都、大津、名古屋と辿って4月の末に江戸にもどっている。その帰庵後に書いた紀行文が「野ざらし紀行」である。
41 あち東風や 面々さばき柳髪
42 暑き日を 海に入れたり最上川
43 あつみ山や 吹浦かけて夕すずみ
44 あの雲は 稲妻を待つたたよりかな
45 あの中に 蒔絵かきたし宿の月
46 油こほり ともし火細き寝覚かな
47 海士の顔 まづ見らるるや芥子の花
48 海士の屋は 小海老にまじるいとどかな
49 雨折々 思ふことなき早苗かな
50 雨の日や 世間の秋を堺町
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