芭蕉発句集 あき
11 秋風や藪も畠も不破の関
12 秋来にけり耳をたづねて枕の風
13 秋きぬと妻恋ふ星や鹿の革
14 秋涼し手毎にむけや瓜茄子
15 秋近き心の寄るや四畳半
16 秋十年 却つて江戸を指す故郷
17 秋に添うて行かばや末は小松川
18 秋の色 糠味噌壺もなかりけり
19 秋の風 伊勢の墓原なほ凄し
20 秋の夜を うち崩したる咄かな
芭蕉の頃の発句というのは、だいたい今日の俳句にあたる。原則として17音で、5・7・5のリズムを基調とし、季題をふくむなど、今日のいわゆる伝統俳句と似たところが多い。ただし相違点もある。まず発句は、名のごとく最初の句であって、連句の運びのはじまる第一の句である。もっとも芭蕉の発句の全部が連句を伴うものではなく、当時も発句だけを単独につくることもあったわけである。が、芭蕉の頃は連句がさかんに行われていたわけであるから、単独につくられた場合でも、今日のように連句がほとんど行われなくなった時代の連句を全く予想しない俳句とは質的に違うのである。
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