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2010年2月21日 (日)

60の手習い「高校世界史」とイスラム

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    高校世界史の教科書が売れているという。書店には新刊「もういちど読む山川世界史」が平積みされている。斯く言うケペルも本物の教科書を大型書店で買う(世界史BはもちろんAも)。教科書だけでなく副教材「図説世界史」の類も買う。印刷技術の進歩はめざましくカラー図版に工夫があり面白い。「コンスタンティノープルの陥落」の鳥瞰図で説明し、トルコの船が山を越えるイラストは傑作。

    教科書的な概説書がそれほど求められる背景には、おそらく世界がグローバル化したことがあげられるだろう。従来、高校世界史は暗記物で大学受験のためか、さもなくば一般教養的な知識を得る目的が多かった。ところが現代では投資をするにしても海外の情勢を知る必要があるし、ベースとなる文化や歴史が不可欠となる。いわば実利的に見ても世界史が必須なのだ。とくに強調したいのはイスラム世界への理解だろう。どうしても日本国内の情報だけでは偏重するので、高校世界史レベルの基礎知識をたえず学習することを心がけている。たとえば、イドリース朝、アグラブ朝、ターヒル朝、サッファール朝、サーマン朝、ファーティマ朝、ブワイフ朝、カラハン朝、ガズナ朝、ムラビート朝、ムワッヒド朝、アイユーブ朝、セルジューク朝、ホラズム朝、ゴール朝、マリーン朝、ザイヤーン朝、ハフス朝、マムルーク朝、デリー・スルタン朝など知っているだろうか。どれが、アラブ系か、イラン・アフガン系か、トルコ系か、識別できるか。王朝の興亡史を知らないと、10世紀から12世紀にかけてのアジア、アフリカ、ヨーロッパ世界が理解できない。とくにアラブと非アラブの問題は複雑だ。イスラムを受容したアラブは、支配者として免税などさまざまな特権を有していた。しかし、非アラブのイスラム教徒が増大すると、これに反発して、すべてのイスラム教に同等の権利を保証すべきという運動がおこった。その結果成立した体制をイスラム国家という。

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コメント

たしかに、日本人は、特に、イスラーム知識に疎いですねぇ。
しかも、わずかに日本に入ってくるイスラーム情報と言えば、ほとんど欧米の「悪意と偏見」というフィルターで染められ、歪められた「悪のイスラーム像」ばかり。
真の歴史を知らない一般人は、そういう「歪められたイスラーム像」を真に受けてしまっていますから、コマったものです。
丸暗記主義ではなく、キチンとした歴史教育が求められますが…今の日本ではムリっぽいです。

コメントありがとうございます。アラビア語の原音に近い「イスラーム」と表記されているので感心しました。アジアだけをみても、イスラム教徒9億2千人、ヒンドゥー教徒8億6千人となってます。最近、女優のジュリア・ロバーツがキリスト教からヒンドゥー教に改宗したことが世界を驚かしていますが、映画の宣伝か彼女の気まぐれかもしれませんが、個人の自由意志でどんどん宗教を選べる時代になってきたのでしょうか。

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