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2010年1月29日 (金)

江戸川乱歩「心理試験」

    最初から犯人がわかっている倒叙ミステリーは、「刑事コロンボ」でお馴染みだが、大正14年にすでに江戸川乱歩が「心理試験」という傑作の短編を書いている。蕗屋清一郎は、金目当てに、友人の斎藤勇の下宿する家の老婆を殺害する。老婆が植木鉢の底に隠しておいた金を半分だけ奪い、あとは残しておいた。その金を拾ったことにして警察に届けて、一年後にもらう計画であった。ところが、斎藤が老婆の死体を発見し、植木鉢の金をネコババした。斎藤は老婆の殺人犯として挙げられた。蕗屋と斎藤は警察の心理テストにかけられる。蕗屋は十分に準備して完璧に疑いをかわしたかに見えた。だが明智小五郎は老婆の家にあった屏風の傷に目をつけ、蕗屋に罠をしかける。問題は蕗屋は事件のその日、老婆の家にいたことを証明すればよいのである。屏風の傷はもともとない。犯行の際に生じたものである。蕗屋は傷のことを知っているはずだ。帰り際に、明智は蕗屋になにげなく屏風の傷のことを聞く。蕗屋は「その屏風なら覚えてますよ。僕の見た時には確かに傷なんかありませんでした」明智はとぼけた顔をして、判事に「ところで、あの屏風は、いつあの老婆の家に持ち込まれたのですか」「犯罪事件の前日ですよ。つまり先月の4日です」事件の二日前から、老婆の家へ行ったことのないという蕗屋が、嘘が露見した。

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