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2010年1月18日 (月)

黒川雪「悪魔降臨」

Fashon

    流石景「GE~グッドエンディング」の待望の単行本が発売された。「恋に臆病な男子、この指とまれ~」「動き出した片想いはGEにたどり着けるか?」のキャッチ・コピー2本立て。本書は内気な青年、内海聖志の男性としての成長を記録したビルディング・ロマンスとみることも可能である。しかしながら、内海に恋のレッスンをする同級生・黒川雪の魅力がただらなぬものがある。明治の「金色夜叉」のお宮や「雁」のお玉のような忍従の女とは隔世の感がある。まさに21世紀のヒロイン像を画像化したものである。アドバイスが的確でキツイ言葉と憂いを秘めた横顔。黒川のミステリアスな部分はストーリーが展開されるうちに解き明かされるであろう。

    少年マンガ誌に性的魅力をともなった等身大のヒロイン登場で昨年はちょっとした騒ぎが起きた。ウェブ掲示板で、読者は「少年マンガのヒロインは箱入り娘的な少女でなければならない」つまり従来半世紀の間ヒロイン像は、みんな男にとっての天使だった。「おそ松くん」のトト子、「鉄腕アトム」のウラン、「巨人の星」の日高美奈、星明子、「あしたのジョー」の白木葉子、「陽あたり良好」の岸本かすみ、「タッチ」の浅倉南、「ドラえもん」のしずかちゃん。純情可憐、欲望のない人形であった。はじめて男子の漫画に登場した熱き血のかよった女神が黒川雪なのだ。男の子たちは皆とまどいをみせた。エロスはいけないものと思っているかもしれない。中国語で「風流」という漢語の意味は「色好み」ということを知らないのだろう。風流を解することのできない人たちが掲示板とやらで女流作家を非難しはじめた。文学や芸術を真に理解する者ならばわかる。セシル(悲しみよこんにちは)、ヴァンカ(青い麦)のヒロインのように少女たちは性にめざめていく。女性の漫画家だからリアルに描けるエロスの世界がある。心理描写は男性漫画家では描けない。いま流行のファッションも黒川雪だけが着ているが、トト子の服は毎回同じのワンパターンだろう。男子は悪魔が降臨してきたことを素直に喜ぶべきである。タイトルの「GE」とはゲームのあがり(「良い結末」の意味)、反対語は「BE」。

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