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2010年1月25日 (月)

「魅せられたる魂」をもう一度

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 道徳ってものは男がこさえたんです。わたし知っているわ。結婚をせず、生涯子供の父親に身を献げるなんてことをせずに、子供を持とうという勇敢な女は、男から糾弾されるのです。そして多くの女にとって、結婚は奴隷生活です。なぜといって、夫を愛していないんですから。もしも勇気があったなら、自由になって子供とだけ一緒という女は、ずいぶん沢山あるでしょう。わたしはそういうふうにするつもりなの。

   有名なロマン・ロランの小説「魅せられたる魂」の一節。第一次世界大戦前後に生きた若いフランスの女性アンネット・リビエールの生涯の物語。アンネットは自我の自由を失うまいとして安易な幸福を拒否し、多難な人生に飛び込んでいく。そしてアンネットは自我的な母性愛から人類的な大きな母性愛に発展していく。当時珍しかった婚外子もいまでは欧米では、それほど珍しいものではない。フランスでは結婚していないカップルから生まれる子どもの割合は50%を超えている。スウェーデンでは54.7%である。

    東アジアでは少子化が急進している。経済が急成長した韓国、台湾、シンガポールの出生率は日本を下回る。東アジアの少子化の一因には、婚外子を許容しない国民性にあると指摘する学者もいる。婚外子差別を撤廃したり、未婚の母が堂々と子を産んで育てる環境が整えば、結果的には人工中絶を減らし、少子化対策につながる。事実婚の法的保護や選択的夫婦別姓についても同じだ。だが、これに対して家庭が崩壊するという根強い反対もあるだろう。近年の人口政策の立場からみると、東アジアの極端な少子化は、女性の地位が低く、仕事と子育てとの両立が困難で、女性が仕事か子どもかを選ばなければならない状態が続いているからであると分析する。伝統的な家族制度を維持させようとしても、核家族化は進行しており、欧米型の新しい家族へ移行するという未来志向で考える時期に来ている。人口学者エマニュエル・トッドは日本のように出生率が1.3前後が続くと「国の没落」が始まると指摘する。少子化対策で予算をいくら計上しようとも、国民の意識が変わらなければ、弱体化していく。長期的にみると。外交や経済問題よりも国民の結婚観は切実な問題なのだ。「魅せられたる魂」をもう一度読んでみよう。

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