漂流する文書館
文学記念館、文書館、図書館などは資料を保存する機能は有しているが各々その特性は大きく異なる。しかし、行政全般から見ると出先機関で、不要不急の感あり、情勢の変化により真っ先に斬られる施設でもある。大阪市住吉区にある府立公文書館が、吹田の国際児童文学館の建物に移るという。もともと児童文学館として設計された施設なのでチグハグなものになるであろうが、移転後、一度見学したいものである。
日本の社会において図書館、文書館(最近はアーカイブスというらしい)、文学館(あるいは文学記念館)、郷土資料館、美術館、博物館などの諸施設は欧米に比べて、理事者たちの認識は極めて低い。いまでもそうだが、明治・大正の草創期はもっと厳しいものがあったであろう。わが国の図書館界で最も著名な人物は佐野友三郎だと思うが、残念ながら自殺の詳しい理由は知らないし、また今となっては誰にも本当のことはわからない。思うに図書館人ほど憤りをもって晩年をおくる職業はないなのではないだろうか。最も栄達を極めた和田万吉も関東大震災で貴重書を焼失させた責任を問われて、辞任させられ、失意の晩年であった。初代帝国図書館館長の田中稲城も文部省との意見の対立で、退職に追い込まれた。神戸の伊達友俊や新潟の村島靖雄も晩節はよくない。おそらく図書館や文書館の者は、行住坐臥、寸暇たりとも図書館のことを考えぬ日はないが、世に入れられず、憤懣やるかたたなく死んでいく運命にあった。
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こんにちは、はじめまして。
ブログを大変興味深く拝見しております。
>神戸の伊達友俊や新潟の村島靖雄も晩節はよくない。
とのことですが、
具体的にどのような出来事があったのでしょうか。
ぶしつけなお願いで恐縮ですが、
ご存知でしたら教えていただけませんでしょうか。
投稿: Kawa | 2015年11月17日 (火) 18時06分
伊達友俊や村島靖男の晩節はよくない、この一文をなぜ書いたのか、どの文献を見て感じたのは、今となってはよくわかりません。筆のすべりかもしれません。ただし村島は早逝しています。「中田邦造」の晩節はよくない、のほうがよかったかもしれません。
投稿: ケペル | 2015年11月17日 (火) 19時40分
早々にお返事をいただきましてありがとうございます。
戦前からの図書館の状況を勉強しはじめたばかりなので大変参考になりました。
投稿: Kawa | 2015年11月17日 (火) 23時01分