鬼火の妖精
小雨の降る闇夜に空中を浮遊する怪火を鬼火とか幽霊火などと呼ぶらしい。死んだ人間の魂といわれ、世界中にみられる現象だ。日本では、青色は人魂(ひとだま)、暗紅色は狢火(むじなび)、淡紅色は狐火(きつねび)という。フランスでは悪魔が操る火の玉で「フォレー」(鬼火)という。この悪魔はいたずら好きで、人を道に迷わせたり、同じところをぐるぐる回らせたり、または群れをなして町に現われ、人を驚かせて喜ぶという。ジョルジュ・サンドの小説「愛の妖精」(プチット・ファデット)にも出てくる。野性の少女ファデットは、その名のとおり「ファデー」(妖精)に由来する。少し悪戯気のある女の小鬼というイメージだろう。村人がこの娘を見るとあのフォレーを見るような気がする。「やせっぽちで、髪の毛を振り乱して、とてもおしゃべりで、憎まれ口をよく言い、蝶々のようにお転婆で、駒鳥のように詮索好きで、こおろぎのように色が黒い」とある。
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