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2009年12月13日 (日)

女の歴史

    成瀬巳喜男の「女の歴史」を見た。高峰秀子が戦前に深川の材木商の息子と結婚するが、夫は戦死し、女手ひとり息子を大学まで行かせる。息子はキャバレーの女と子どもをつくり、自動車事故で死ぬ。キャバレーの女はまじめな女で孫と三人生きていくというストーリー。平凡だが昭和史が描けているように感じる。映画公開当時、テレビのためにどれほどの観客がこの映画を観たかわからないが、50年近く経て、上質のドラマであることを知る。ところでNHKの朝ドラ「ウェルかめ」がさっぱり盛り上がらない。浜本波美(倉科カナ)は徳島発の情報誌を発行するゾメキトキメキ出版の編集員。ロボット工学を専攻する山田勝之新(大東俊介)、幼なじみの漁師の一平(武田航平)、イラストレーターの佐古(長塚圭史)など波美をとりまく男性も多才な顔ぶれだが、いまひとつヒロインのトキメキが伝わらない。かつての朝ドラには「おはなはん」「おしん」のような明治・大正・昭和を生きた女の歴史があった。一人の女性の生きたドラマに多くの女性が共感し、涙した。平成になって父母、祖父・祖母の生きた時代には無関心になってきたのだろう。明るく健気というヒロイン像は前作「つばさ」と同じで、場所と職業を変えただけのつくり話にすぎない。また地域おこしのご当地ドラマも嫌味に見えてくる。経済効果などというドラマづくりとは無縁のものをそぎ落として、もう一度人間ドラマを見据えた脚本、演出を心がけてほしい。

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