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2009年12月26日 (土)

百年前の作家たち

    サマーセット・モーム(1874-1965)の代表作「人間の絆」は1915年に発表されたという。モームと同世代の作家をわが国で挙げると、島崎藤村(1872-1943)、有島武郎(1878-1923)、永井荷風(1879-1959)、志賀直哉(1883-1971)あたりか。つまり明治43年(1910)、雑誌「白樺」が来年でちょうど100年に当たる。志賀直哉の「網走まで」は創刊に掲載されたから、やはり100年間読み継がれたことになる。100年のちまで読まれる小説家がどれくらいいるだろう。刊行当時、流行してもなかなか100年読まれる作品は少ない。だいたい第一次世界大戦前後に登場した作品には、戦争体験が反映されて、人生の苦悩やヒューマニズムに溢れた名作が多い。第一次大戦をテーマとした「黙示録の四騎士」(1916)やファン・ガラルドという闘牛士を描いた「血と砂」(1908)の作家ブラスコ・イパーニュス(1867-1928)など今日その名を知る人は少ない。ルドルフ・ヴァレンチノの洋画によってイパーニュスの名声は世界的だったのだが。「城砦」(1937)のクローニン(1896-1981)も日本でよく読まれた作家であったが、いつのまにか忘れさられた。「朝から夜中まで」(1916)のグオルク・カイザ(1878-1945)、「海戦」(1917)のラインハルト・ゲーリング(1887-1936)、「ドイツ男ヒンケルマン」のエルンスト・トラー(1893-1939)、「インドへの道」(1924)のエドウォード・モーガン・フォースター(1879-1970)、「医師ビュルガーの運命」「ルーマニア日記」(1924)「美しき惑いの年」(1941)のハンス・カロッサ(1878-1956)、「雪解け」(1954)「あらし」(1947)のエレンブルグ(1891-1967)など現在ほとんど忘れさられようとしている。もちろん世界文学史上において確固たる地位はあるものの、実際に作品を読もうとして作品が本屋の店頭にあるのだろうか。「カラマーゾフの兄弟」が新訳でブームだと聞いたが、ほんとうに文学書が読まれているとは思えない。むかしの学生は文庫本の解説目録などで読み終えた本に印をつけ、何かしらの達成感を味わうことをしたものだが、近頃の学生はそんな習慣は無くなったのだろう。いま流行の作家の作品などはほとんど百年後は読まれないと思う。

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