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2009年11月25日 (水)

漢字とビジネス産業

Img_0015 「礼記」楽記

    朝日新聞夕刊のニッポン人脈が面白い。本日からの新シリーズは「漢字の森深く」。ずいぶん難しい漢字を勉強している若い人がいるものである。「諸橋大漢和」が家にあるという。貧乏なケペルには、とても高価で買えない。代わりに中国で刊行された「漢語大詞典」がある。こちらのほうが語彙は多い。「嫗伏孕鬻」も収録している。「鬻」は「育」と同じ。「鳥や獣が子を産み育てること」出典は「礼記」楽記にある。ところで読み方だが、新聞には「うふうよういく」とあるが「うふくよういく」と素直に読めばいいように思うのだが、「うふうよういく」が正解だそうだ。手許に大漢和がないので確認できないのだが、もともと儒家の経典にある語なので、日本人がどのように読むかは古来からの慣例に従うしかない。漢字検定一級レベルの「四字熟語」問題だそうだが、ひっかけ問題みたいでもある。広辞苑や手許の四字熟語の辞典には見当たらないので、「四字漢語」といったほうが近い。思考するに、エコノミックな日本人は神聖なる儒教の経典の語句やら漢字そのものをビジネス市場化したようで哀しいかぎりである。諸橋轍次がこのような事実を知ったら如何に嘆くことであろうか。だがこのように難しい漢語もおそらく、江戸から明治までは漢学者は、さっと礼記を引きずり出して講釈をしたであろう。もちろん漢字を知っているとかが問題ではなくで、もっと本質的なもの、訓詁学、字句の解釈が問題なのである。今日のような検定試験で知識を競うことにどんな意味があるのか疑問だ。ところがいくら検定料が高額でも希望者は多い。ライセンス社会なのだろう。そもそも漢字を学ぶことは無料でだれでもが使用できるものなので、検定料とか、テキスト代とかを費やすことは愚かしいことである。無料で寺子屋(漢学塾)で学べるような社会にもどればいいと思う。金とかライセンスとか博学を誇示するためでなく、知ることを愛する精神を大切にしたい。

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