「坂の上の雲」日本人の生き方を考えさせてくれる骨太のドラマだ
「まことに小さな国が、開化期をむかえようとしている」という有名な書き出しで始まる司馬遼太郎の「坂の上の雲」がついにNHKでドラマ化され、昨夜第一回を見た。日清日露の軍人の生涯を描いた内容のドラマ化には賛否両論の意見がある。朝日新聞「声」の欄にも日露戦争は侵略戦争に繋がるもので美化されることは許されないとする趣旨のものは多い。では過去を反省した反戦ドラマでないとダメなのか。自分は戦前を否定する考えの人たちとは与しない。明治という時代を21世紀を生きるわれわれがどう考えるのか、祖先の歩みをわかりやすい形で映像化して考えることは、ひとつの手がかりとなりうると思う。昨夜のドラマで薪割りのシーンがあった。子ども時代、風呂を沸かすのは子どもの仕事で、薪を割って紙をつけて、たき付け火をつけて、それから燃えだして、風呂に水を汲んだ。それが今ではボタンを押したら風呂が沸く。ボタンを押すとなんでも勝手に機械がやってくれると今の子どもは思っている。はたしてボタンを押すのが進歩だろうか。この150年、都市化は止まらない。地球環境を守れと今頃になって政府は言っているが、国土を破壊したのは昭和という国家だった。サラリーマンが増えたことが最大の悲劇だ。社会やマスコミは大多数のサラリーマンに有利な環境を作っている。農林水産業を見捨てて自活できない国になってしまった。学校へ行って就職するというレール、そんな生き方しかないと日本人みんなが思っている。ドラマでも職業軍人を選んだのは給料が支給されるからだといっていた。福沢諭吉の思想「独立自尊」が背景にある。司馬遼太郎は「明治というのは、あらゆる面で不思議で大きくて、いろんな欠点がありましたが、偉大でしたね。ただ明治時代という時代区分で話さずに、明治国家という、この地球上の、地図の上にはない、1868年から44、45年続いた国家が、この世にあって、できれば他の国のひとびとにも知って欲しいというか、聞いてほしい」と語っている。ドラマの続きを楽しみにしている。そして未来志向で「平成が偉大な時代だった」と100年後の子孫にいわれるようにしたいものである。(ちょっと無理だろうなあ・・・)
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