秋も日ごとに深まり、この頃になると幼い日のことがなぜか思い出されます。田舎で赤とんぼの大群を追いかけてみた夕焼けの空、稲刈り後の田んぼのにおい、叱られて泣いて歩いた田舎の道、なつかしさがこみあげてきます。そんなとき道草に咲いていた野の花を見る。聖書に「野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。栄華をきわめた時のソロモンでさえ、この花のひとつほどにも着飾ってはいなかった」とあります。
ふと忘れかけていた聖句が甦ってきた。途絶えていた祈りを再び捧げる。今一度花を見る。花は肩をすくめ、無邪気に笑っている。見上げた空は青く、大きく、高かった。
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