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2009年10月31日 (土)

濹東綺譚にみる東京風物

    震災後の東京風物は小説になりやすい。川端康成の「浅草紅団」や浜本浩「浅草の灯」など多数ある。なかでも永井荷風の「濹東綺譚」には昭和11年頃の東京風物がいろいろ克明に描写されていて興味深いものがある。浅草の活動写真、古本屋、吉原、震災後東京の変わり様、円タク、ラジオの騒音、場末の私娼街、カフェなどなど。たとえばこんな会話がある。

「この辺は井戸か水道か」
とわたしは茶を飲む前に何気なく尋ねた。
井戸の水だと答えてから、茶は飲む振りをしておく用意である。

チフスにならないよう注意していたようだ。お雪の髪型について詳しく描写されている。

盛り場の女は700から800人くらいだが、その中で、島田や丸髷を結っている女は、10人に1人くらいだ。大体は女給まがいの日本風と、ダンサー好みの洋装とである。

    そして、玉の井のお雪はドブ際の家に住んでいるが、いつも島田潰か丸髷を結っている。震災で消えていった過去の幻影を再現させてくれるのである。

    「濹東綺譚」は新聞に連載されたそうだが、たいへんな人気だったらしい。当時の読者は、消えていく江戸情緒を哀惜する明治人が多かったのであろう。

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