姦通罪と掠奪婚
有島武郎(1878-1923)は大正12年軽井沢別荘で波多野秋子と情死した。有島の死は彼女の夫波多野春彦から姦通罪をもって脅迫されたことが、直接的原因とされている。ところで有島の代表作「或る女」のヒロイン葉子をスキャンダル記事で追い込む田川法学士夫人のモデルは鳩山一郎の母・鳩山春子(1863-1938)だといわれている。有島は社会主義高揚期にあって、ブルジョワとプロレタリアとで苦悩し、鳩山一族をブルジョワの代表して考えたのであろう。100年経っても日本一の政界の名家は健在だった。鳩山由紀夫の内閣総理大臣誕生の日が来るのは近い。ファースト・レディは鳩山幸。鳩山幸は上海生れの神戸育ち。「若みゆき」という名で宝塚歌劇団で娘役として活躍していた。退団後、渡米し、サンフランシスコでレストランを経営する日本人男性と結婚。ところが、その3年後に留学生・鳩山由紀夫と出会って不倫関係となる。2人はそのまま日本に帰国。つまり留学先のお世話になった人と奥さんを奪ってしまったことになる。いまだから掠奪婚ですませられるが、むかしでいう姦通罪である。あの有島武郎が心中におついめられた行為が、名家鳩山一族ならば許されるという日本社会がなんとも言葉にないものを感じている。
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