チップス先生さようなら
1933年、若くて売れない小説家ジェームズ・ヒルトン(1900-1954)はクリスマスの特別付録用の小説をある雑誌社から依頼された。原稿の締め切りまで僅か2週間しかなく、焦ったヒルトンは、自分のパブリック・スクールの体験をもとにわずか4日で書き上げた。生真面目で堅物の教師チップスは、生徒たちから見ると退屈で人気がない。そんなさえない教師が運命の女性に恋をして、結婚して、校長にまでなるまでの心あたたまる一教育者の話を書いた。この風変わりな小説が思わぬ評判を呼んだ。英語版で22版を数え、1937年にはロンドンで舞台化、さらに1939年ロバート・ドナットで映画化された。ジェームズ・ヒルトンは本作「チップス先生さようなら」で一躍ベストセラー作家となった。代表作には「失われた地平線」「心の旅路」などがある。
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