いろは歌の作者は本当に柿本人麻呂か?
日本人なら誰でも知っている「いろは歌」。この歌の作者は、俗説ではあるが弘法大師の作とされている。ところが、古くから伝わる万葉がなで書かれた「いろは歌」はみな7字区切り。わかりやすく7字区切りの7行で記してみよう。
いろはにほへと
ちりぬるをわか
よたれそつねな
らむうゐのおく
やまけふこえて
あさきゆめみし
ゑひもせ す
各行の末尾の1字を並べると「とかなくてしす」、すなわち、
「咎なくて死す」
身に覚えのない罪、無実の罪によって死に追いやられた怨念が込められた歌なのだ。万葉の歌人で、該当する歌人といえば、柿本人麻呂である。理由としては人麻呂には同様な言葉遊びに類する歌が多くみられる。もう一つの理由として考えられるのは人麻呂は島根県邑智郡邑智町湯抱の鴨山で刑死されたという。いろは歌に怨念が隠されていたことは学者たちは知っていたらしい。江戸時代の貝原益軒は手習いには「あいうえお50字」をすすめたのもそのためと考えられる。だが古代音声学でいうと現代の音と万葉期の音とは相当に違いがあり、「いろは歌」トリック説はかなり珍説のたぐいであろう。(参考:篠原央憲「柿本人麻呂いろは歌の謎」)
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